HLDC院長手塚充樹のブログ

健康寿命延伸型歯科医院実現へ向けて

SRP(えすあーるぴー)されたことありますか?中等度以上の歯周病、放置したままクリーニングだけしてませんか?

どうも、歯科医師の手塚 充樹です。

 

今回は歯周病の治療についてのお話です。

 

まず、歯周病ってどんな病気かご存じですか?

 

歯周病わかるよ!って言う方はチャプターからお好きなところからお読みください。

 

 

 

歯周病とは?

 

歯周病は、一般的には、細菌感染から起こる病気であると考えられています。

 

お口の中には、善玉菌(良い市民)・悪玉菌(悪い市民)・日和見菌(一般市民)という大きく分けて3種類の菌で構成されていると考えることもできます。

 

 

 

お口の中には約100億~1000億個の細菌が存在するといわれています。

 

それらの菌のバランスが崩れることによって、歯周病が発症します。

 

特に日和見菌(一般市民)は悪玉菌(悪い市民)の影響を受けやすいといわれています。

 

プラークという言葉を聞いたことはありますか?

 

食べかすが元となって形成されるものですが、お口の中に住んでいる口腔細菌がこのプラークの中の9割以上を占めています。

 

歯の表面についた当初は「食べ物」でしたが、時間が経つと「細菌の塊」に変化するということになります。

 

この食べかすがどんな食べ物か、糖質主体の食べ物なのか、タンパク質なのか、脂質なのかなどによっても細菌のリアクションは変わります。

 

結果的に、プラークは、72時間以上放置されるとバイオフィルムといって、歯ブラシでは取れない状態となり、細菌の塊がタンパク質のバリアを張ってしまいます。

 

こういった現象が積み重なり、お口の中の細菌のバランス(口腔細菌叢、オーラルマイクロバイオーム)が崩れることによって歯周病が発症すると考えられています。

 

また、歯軋りや無理なかみ合わせの力がかかってしまうことによる「咬合性外傷」といって、歯の周りがダメージを受けて「怪我」をしているような恰好で歯の周りの骨が溶けてしまうこともあります。

 

 

歯周病には軽度~重度までで診断と治療法が異なることを知ってましたか?

 

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歯周病の検査結果と診断について

 

歯周病の進行度合いによって、軽度のものから、中等度➔重度と診断結果によって治療法がことなるのをご存知でしたか?

 

定期検診を3か月もしくは半年に1回程度、歯科医院に通っていて、お口の中のクリーニングをされている方もいらっしゃるかと思います。

 

しかしながら、クリーニングを続けているはずなのに、徐々に歯周病が進行していったり、新しくむし歯ができてしまう方も少なくないのでないでしょうか。

 

 

その理由の一つとして考えられるのは、歯の間の狭い部分や歯ぐきの歯周ポケットの中の深い部分のお掃除ができていないことも考えられます。

 

 

一般的な「歯のクリーニング」は「スケーリング」といって、歯ぐきのそばに形成された歯石を除去する行為を指すことが多いです。

 

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning、ぴーえむてぃーしー)」と呼ばれるものは、広義では歯石を取る行為も含みますが、歯の表面に付着して歯ブラシでは除去できなくなったバイオフィルムを除去する行為のことを言います。

 

 

歯ぐきの深い部分のお掃除とは??????

 

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中等度の歯周病

 

「SRP(Scaling Root Plaining、スケーリングルートプレーニング、えすあーるぴー)」という治療行為があります。

 

これは、単に歯ぐきのそばについた歯石をはじき飛ばすという行為とは違い、歯の根の面にまで付着してしまった歯石を除去したり、歯石によってゴツゴツ・ザラザラしてしまった歯の根っこの表面を平らにして歯ぐきが治ってきやすいようにする治療です。

 

 

この、SRP(えすあーるぴー)という治療行為が欠如したまま、歯ぐきのそばの歯石を取る行為であるスケーリングを定期的に繰り返していても、少しずつ歯周病が進行してしまうことがあります。

 

時として、悪くなってしまった歯ぐきを開き、外科的にアプローチした方が確実に汚れを除去できたり、再生療法によって失われた骨が戻ってくることもあります(再生療法についても一部保険適応が認められています)。

 

 

 

歯周病を見逃さないためにはどうしたら良い?

 

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歯周病の精密検査、プラークも可視化する

 

歯周病の検査」と「歯周病の診断」ができていないとそういった見逃しが起こりやすくなります。

 

また、プラークバイオフィルムを可視化する目的で、プラーク染め出し液を使って見えるようにし、取り残しがないクリーニング(PMTCともいう)を行うことも有効です。

 

ざっと歯のクリーニングだけを漫然と繰り返していると、その行為は徐々に「診療」からかけ離れてきます。

 

※まだむし歯や歯周病が発症する前にリスクが高いところのバイオフィルムを除去するPMTC(ぴーえむてぃーしー)を行うことはおすすめできます。

 

マッサージで凝った筋肉をほぐしてもらうことに例えると、筋肉が凝る原因には何もアプローチせず、深部の凝りはほぐさず表層の筋肉の血行だけよくして終わりにしているようなものです。

 

何度通っても徐々に悪くなっていってしまうこともありますよね。

 

 

そんな精密な検査と診療は保険適応外の自由診療になるのでは??

 

少なくとも保険「診療」では、「検査・診査(状態を調べる、診る)」と「診断(病名を付ける)」ことと、「治療計画を立てる」ことが求められています。

 

また、日本の保険医療制度は、歯周病に対しては比較的手厚くカバーされています。

 

日本の、いや、世界の人が罹患している歯周病に対してはしっかり治して欲しいという意向があります。

 

歯周病を専門的にちゃんと治療する場合とそうでない場合では「検査・診査」をどの程度やっているか、診断して中等度以上の歯周病がないかどうかチェックしているかに大きな差がでると考えます。

 

(ちなみに歯周病の検査方法については、歯周ポケットの深さや歯ぐきの出血を炎症と判断し測っているため、歯石があると物差しがぶつかってしまってうまく正確な数値で測定できなかったり、たばこを吸っている人は歯ぐきが貧血状態になるので出血があまり起きず、実際よりもいい結果が出てしまったりすることもあります。もっといい調べ方ができるといいのになとずっと思っていますが、旧来の方法がずっと使われてきているのが現状です。海外では新たな歯周組織の検査法も存在します。)

 

なお、当院の歯周病の治療のおおまかな流れは動画のスライドショーにもなっていますのでよければご覧ください。

 

 

 

 

 

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