歯科医師の手塚 充樹です。
久しぶりに更新します。
今日の内容は、「なるべく歯の神経を取らないためにできること」をテーマにお話ししたいと思います。
歯の神経を取る治療は、治療する方もされる方も大変
皆さんは、歯の神経を取る処置の時に苦労された経験はありませんか。
私は少なくとも、「歯の神経を取った時、すごく痛くて苦労した」というようなフレーズを患者さんから伺うことがけっこうあります。
もしくは、神経を取り除いたあと、治療が完了してから数年後に同じ歯が痛み出したりしたことはありませんか??
歯の神経を取らずになんとかできないのか
歯の神経を取らずに何とかする方法があれば・・・と思いますよね。
実は、神経に到達する手前の状態で痛みが出ているような場合、神経を残して処置ができる材料があります。
歯の神経を取らずに治療するために使える材料
過去にも、神経を残してなんとかしようとする考えはあり、主に水酸化カルシウム製剤などが用いられてきました。
しかしながら、虫歯を削っている最中に、偶発的に神経が飛び出てしまった場合に有効なのがこの方法です。しかも、年月が経つと吸収されてしまったり、強度がないので形を保っていられなかったり問題点はあります。
結果的には、虫歯が進行しすぎていると、神経を取る以外に方法がないのが現状でした。
しかし、ドックベストセメントやMTAセメントを用いることにより、従来よりも歯の神経を温存できる可能性が高まることがわかってきています。
ドックベストセメントに関しては、少なくとも自分の患者さんやドックベストセメントを使用している先生方のあいだでは、正しく扱えば成功率はかなり高く、歯の痛みが治まり、神経を残すことが可能となっています。
MTAセメントについても同様に、歯の神経を残すために有用であり、歯の根がシャープに割れてしまった場合に、割れた歯を接着させてMTAセメントでくるんだりしてあげると保存ができたり、素晴らしい効果があることがわかっています。
細胞が修復する力を促す
ドックベストセメントやMTAセメント。お気軽にお問い合わせください。
神経を取らない方がよい理由は、治療が大変だからというだけではない
日本では、多くの場合、冷たい水にしみる症状が治まらなかったり、暖かいものでもしみるような症状が出ている場合は、歯の神経を取る処置を行うことが多いです。
しかし、この神経を取り除く処置の段階でかなりちゃんと無菌的な処置を行わないと、何年後かに再発をしてしまうことが、特に日本では多いことがわかっています。
神経を取る治療をする時は、身体の内部(神経)が身体の外部(お口の中)に露出しますので、しっかり治療を行う必要があります。
しかし、日本の保険医療体制では、なかなか根の治療に対してそこまで時間をかけたり最新の機器を駆使することは難しくなっております。
日本には、根の治療を専門として自由診療のみで治療をする医院も増えてきているように感じます。
根の治療が終わった歯が数年後に再発した時がやっかい
根の治療が終わり、その後の土台の素材や、被せ物の素材によっても、治療後の感染のリスクが変わることがわかっています。
しかし、根の治療を保険でやったあと、土台を金属で入れたり、その上に金属のかぶせ物を装着することが今までは特に多かったです。
種類の違う金属が隣り合わせになると、イオンの差がうまれて、のちのち細菌を歯の中に送り込んでしまうこともわかっています。
根の先の方へ細菌が送り込まれ、根の先で膿の袋を作ったりしてしまった時がとてもやっかいです。
その細菌が実は身体の方へ送り込まれてしまい、心臓の血管の病気を引き起こしている可能性が示唆されています。
歯の神経を取った後は、むし歯が進行したりしても症状がないので気づきにくく、私の感覚からするとかなり危険な状態に思えてしまいます。
少なくとも、自分の歯にはそんな治療はしたくないです。
みなさんも、ご自身の歯のことを真剣に考えて、今後のお身体の健康のためにも、ちゃんとした歯の治療を行うことをおすすめします。
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手塚 充樹
Mitsuki Tezuka
歯科医師 博士(歯学)
D.M.D. Ph.D.
ヘルシーライフデンタルクリニック院長