丁寧な診療と予防医療のクリニックオープン
開院後初のブログです
昨年のシリコンバレー式ダイエットの記述から、アップしていなかったブログですが、久しぶりに投稿します。
令和元年9月2日に、新橋駅・内幸町駅から徒歩3分の位置に、ヘルシーライフデンタルクリニックがオープン
ダイワロイネットホテル新橋という建物の地下1階に、整形外科・皮膚科、内科・神経内科の医療施設も併設されている医療フロアになっています。
こちらの医院をオープンするまでに、色んなアイディアを練ったり、テクニックを身につけたり、知識を蓄積していったりと数年間に渡り頭と体を使いました。
医院の理念やコンセプト
医院の理念を考えるにあたっても、私が勤務医および雇われ院長時代に持っていたUSPである
「ヒトは口から老いる、歯科から健康寿命を延伸する」
という言葉。
意味合いを少し変え、ヘルシーライフデンタルクリニックでは
「ヒトは口から美しくなる、長く幸福な人生を支援する」
という言葉に変えています。
老いる→美しくなる
と変えたことについては、理由は2つあります。
1つは、「老いる」という人に起こって欲しくないことをあげることによる警告のイメージから、「美しくなる」という人がなりたい状態に変えることでプラスのイメージを持って通院していただきたいという意図があります。
2つ目は、老いるという言葉に比較して、美しくなるという単語に複数の意味があるからです。美しい=美容や整形などのイメージを持たれるかもしれませんが、美しいという言葉には、「立派な、見事な」という意味や、「色や形や音などが調和が取れている」という意味もあります。
まさに、歯科治療において、歯周病を治療して体に対して悪影響が出ない状態を作ったり、歯科矯正によって顎の骨格や歯列のアンバランスを整えて調和を得たり、歯肉と調和が取れたセラミックの被せ物を作ったり、保健指導によって血糖値のコントロールなどの体の機能を整えたり、「体との調和」を歯科から整えるということも目的としています。
ちなみに「音が美しい」ということにおいて言えば、歯は構音機能といって、言葉を人から聞き取りやすい形に発音するためにも非常に重要であることから、口の機能が「美しくなる」ことでその人が発する声や言葉も「美しくなる」のです。
「長く幸福な人生を支援する」
以前に持っていた「歯科から健康寿命を延伸する」という言葉と似た意味合いがありますが、少し違います。
この部分については、慶應義塾大学の腎臓・内分泌・代謝内科教授の伊藤裕先生が提唱されている内容から影響を受けています。
歯科の立場から、伊藤裕先生が提唱されているメタボリックドミノや幸福寿命というお考えについて自分なりに解釈し、当院のコンセプトにも反映しています。
メタボリックドミノに寄り添った、幸福寿命を支える歯科医療という考え方
メタボリックドミノという、生活習慣から生活習慣病や健康寿命を失ってしまう疾患へつながっているというモデルをご存知ですか。
そして、歯科医療という立場が、メタボリックドミノの上流から下流まで関わる機会の多いものだということはご存知ですか。
主に若い世代~中年までのメタボリックドミノ上流
当院では、お口の中に疾患ができたときに、「体の悲鳴」があがっているのではないかと考えます。
むし歯や歯肉炎や歯周炎が起こっている段階で、メタボリックドミノに当てはめて考察すると、何かしらの生活習慣が起因している可能性が大いにあります。
食習慣やその他の生活習慣や、環境などの影響がお口の中に初発症状としてあらわれることは珍しくありません。
自己免疫疾患でも、お口の中に繰り返す口内炎が比較的最初にでる兆候として知られているものもあります。
むし歯や歯周病は多くの人に発症する疾患ではありますが、それらを防ごうと考えた際に、生活習慣と切り離して考えてもなかなかその場しのぎの診療に終始してしまいます。
すでに高血圧症や脂質異常症、糖尿病が発症しているメタボリックドミノ中流
メタボリックドミノの中流になると、お体のことはかかりつけの内科の先生などに診てもらいながら歯科医院を通院されている方や、血糖コントロールの不良や血圧の異常が起こっていても気づくタイミングがなく歯科医院を受診されている方もいらっしゃいます。
また、詳細については他の機会にでも書きたいのですが、いくつか挙げると以下のような関連もあります。
血糖コントロールと歯周炎の関係
砂糖の摂取量とむし歯の発症と血糖値スパイク
体の糖化現象と骨粗鬆症
歯周炎と認知症
高血圧症と栄養状態
冠動脈疾患と歯周炎
歯肉出血と菌血症
などなど、思いつくだけでも体とのつながりから明らかになってきている内容が多くあります。
それらの事実を、患者さんの記録やデータをもとにそれぞれに合ったお話をさせていただき、メタボリックドミノ中流においても、歯科から健康への働きかけを行っています。
いわゆる「健康寿命」を失うメタボリックドミノ下流
メタボリックドミノ下流では、失明や重度の認知症、下肢切断などの怖い文言が並びます。
寝たきりなどの状態になってしまうと、その方の健康寿命は終わりということになってしまいますが、実際に寿命はまだ続きます。
厚生労働省の調べによると、人が幸せを感じるときはどんなときかという問いに対して
1位 病気がないこと
2位 おいしく飲食ができること
だったそうです。
メタボリックドミノ下流においては、歯科は訪問診療や遠隔診療といった方法でお役に立つことができます。
実際に、患者さんのそばまで通い、おいしく飲食ができるように口腔内の環境を整えたり、寄り添っている歯科医師は、その方の幸福寿命を支えることに寄与できると考えています。
その方によっておいしい飲食の内容が違ってくるかとは思いますが、寝たきりやディスキネージア(体の震えが止まらない状態)においても、薬剤を使用しても劇的な改善にはつながらないケースがあります。
ボーンブロススープなどの体や脳への栄養が豊富な食材によって、薬を止めたりディスキネージアが止まり、座位がとれるようになったといった例も報告されています。
患者さんが寝ている状態では義歯を作ることは困難を極めますが、座位が取れれば、ある程度しっかりとした義歯を作成することだってできるでしょう。
そうなると、まさにその方の幸福寿命の獲得に一役買っているといえると思います。
訪問診療における現場でもメタボリックドミノを引き戻すような働きかけもできると考えています。
言葉を健康寿命➔幸福寿命に変えた理由
「患者さん主導」という言葉で説明ができそうです。「健康」という言葉の意味合いや捉え方が簡単ではない部分があり、こちらが健康に対して良かれと思ってアプローチしている内容も、ご本人の幸福につながっていなければ、医療行為の効果も小さくなります。
食習慣一つとっても、その方が今までに慣れ親しんで食べてきたものや嗜好品などは必ずあるものです。
それを食べないことが「健康」なのか、それを食べることが「幸福」なのか。
簡単ではない選択ではありますが、患者さん一人一人に「事実」を知っていただき、「選択」してもらい、患者さんそれぞれの幸福を感じていただけたら良いとは思います。
私の個人的な願いとしては、昨今の現代型栄養失調や、腸疾患(リーキーガット症候群、SIBO、潰瘍性大腸炎)、遅延型フードアレルギーなどの栄養素や分子が関わるような疾患があり、それらは決して薬剤のみで端的に解決できる問題ではないので、みなさん来院される方一人一人がご自身の「生活習慣」と「今の身体の状態」「検査データ」「事実」などと照らし合わせて向き合っていただけたら幸いです。
長文を読んでいただきありがとうございます。
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手塚 充樹 Mitsuki Tezuka
歯科医師 博士(歯学)
ヘルシーライフデンタルクリニック院長