HLDC院長手塚充樹のブログ

健康寿命延伸型歯科医院実現へ向けて

睡眠を妨げる睡眠時無呼吸症候群 閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)とは


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普段よく眠れていますか?

今回は、睡眠や睡眠時無呼吸症候群についてのお話です。

 

歯科でも睡眠時無呼吸症候群についてはご相談を受けることがあります。

 

日中に眠くなったりしませんか?

いびきや、夜間の頻尿、日中に強烈な眠気に襲われたりすることが知られています。

 

日中にふとした瞬間寝落ちするようなことが多い方はこちらの疾患も疑った方がよいかもしれません。

 

閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)を調べる方法

当院からは、専門の医療機関へご紹介が可能です。

簡易検査・住宅睡眠検査(HST)や終夜睡眠ポリグラフ検査 (PSG)といった検査があります。

 

それらの検査を行い、無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index, AHI)といった指数を用いて閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の重症度を診断します。

 

睡眠時無呼吸症の合併症

この病気と一緒に合併していることが多い病気も報告があるようです。

薬剤耐性高血圧症、心不全、心房細動、冠動脈疾患、急性冠症候群、大動脈解離など循環器疾患が合併症として知られています。

その他、糖尿病や認知症との関連も報告されています。

 

それらの合併症と歯周炎やむし歯の関わり

歯は関係ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこの合併症の中にきっと歯周炎や齲蝕(むし歯)もあることが多いであろうことは容易に想像がつきます。

また、むし歯ができやすい➔砂糖を含む食べ物飲み物の常飲、糖質偏重食の背景➔血糖調節の不調➔糖尿病➔歯周炎➔糖尿病増悪➔歯周炎増悪➔歯を抜くことになる➔噛めなくなる➔うどんやおかゆなど糖質偏重食じゃないと噛めなくなってしまう➔糖尿病の合併症として失明や下肢切断など健康寿命を失うような疾患へ発展してしまう。

 

など、身体の状態が悪くなってしまうサイクルの中に歯科疾患も並んで起こっていることがあります。

 

歯周病やむし歯と糖尿病の関わり

糖尿病と歯周炎はお互いに悪くし合う関係にあります。

 

また、齲蝕や歯周炎による歯の喪失によって咬合機能が落ちると、どうしてもおかゆやうどんなどの柔らかい糖質を摂取してしまう機会が増えます。

 

睡眠時無呼吸症の方には、歯科受診や保健指導(栄養指導)もとても有意義ですね。

 

 

歯周病と心臓の病気のつながり

歯周病になっていると、歯周ポケットといって、歯と歯茎の間の溝の部分が深くなります。この歯周ポケットは医学的には潰瘍と同じ状態であると考えられています。

 

潰瘍とは、身体の皮膚や上皮が剥がれ落ち、バリアが破綻してしまっている状態です。

 

胃潰瘍など有名な病気がありますよね。

 

お口の中に潰瘍ができていたり出血を頻繁に繰り返していると、菌血症(体の血管の中に菌が回る状態)が起こります。

 

歯ぐきから出血してから約70秒間で上腕の静脈まで口腔内細菌が来ていることが調べられた研究もあります。

 

歯周病の治療をすることで心臓の病気のリスクを下げる可能性が高いことも示されています。

 

アルツハイマー認知症歯周病と睡眠不足

アルツハイマー認知症に深くかかわるとされているアミロイドβという物質ですが、アミロイドβが一度できてしまった後にそれを分解する薬剤で何とかしようとしてもなかなか改善に向かえないことが知られています。

脳にアミロイドβが蓄積しないような生活が推奨されており、近年ではリコード法というアプローチが脚光を浴びています。

体の慢性炎症を除去したり、体の有害な重金属を排除したり、脳への栄養素の供給を行ったり、生活習慣を見直したりといったことを総合的に行う方法です。

 

歯周病も慢性炎症

慢性炎症と書きましたが、お口の中の歯周炎や神経を取った歯(失活歯)の周りに起きる炎症はまさに慢性炎症です。「塵も積もれば山となる」とは言いますが、10~20年単位で慢性炎症が起きていると重大な病気にもつながりますので注意が必要ですね。

 

睡眠がアミロイドβの蓄積を解消する

睡眠の質も大変重要であるといわれており、やはり脳が休まる時間がないとストレスがかかり認知症の発症リスクにも影響します。

 

 

 

睡眠時無呼吸症が引き起こしている社会問題

日中に強烈な眠気に襲われるため、居眠り運転による大事故が有名です。

特に、バスの運転手の方が睡眠時無呼吸症であった場合には、多くの乗客を犠牲にしてしまうことがあるためより注意が必要です。

 

睡眠時無呼吸症候群を改善する方法

持続的気道陽圧法(CPAP

気管の中を陽圧に保ち、肺まで空気が行き渡るように呼吸を補助するマスクのような器具です。

こちらを装着した状態で睡眠します。

 

口腔内装置(OA)

寝た状態で、下顎を前に出すと、舌根の沈下を防ぐことができるため、気道が生まれ呼吸ができるようになるという原理を利用しています。

上下を固定したマウスピースを作ることが一般的です。

しかしながら、上下を固定したマウスピースだと、顎が全く動かせなかったり、窮屈感がひどかったり装着感があまりよくないため使用が難しい患者さんもいらっしゃいます。

 

海外発祥のもので装着感に優れた装置もあります。

こちらの装置は、寝ている最中に開口することや飲水することも可能です。

 

マウスピースの内面は2層構造になっており、内側は柔らかく、外側は汚れや傷に強い素材で作られています。

 

口を閉じる時には、きちっと下顎は前方に誘導されるように作られているため、ストレスを軽減した状態で睡眠につくことができます。

 

睡眠時無呼吸症候群のマウスピースを作ってみたけど自分には合わない」と感じていらっしゃる方には朗報ですね。

 

外科手術

診断結果によっては外科手術が用いられることもあります。

 

 

睡眠の質改善や炎症除去、かみ合わせの改善など総合的に

よく眠れなければ元気に生活することも難しいですよね。

これを読んでいただいたあなたは、弱い炎症も体の重大な病気へつながることがあることは理解していただけたかと思います。

 

何か気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

 

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手塚 充樹

Mitsuki Tezuka

歯科医師 博士(歯学)

ヘルシーライフデンタルクリニック院長

healthylife-dental.com