どうも、歯科医師・歯学博士の手塚充樹(てづか みつき)です。人の健康寿命やライフスタイルを意識して、お体も健康な状態をゲットしていただくため、ヘルシーライフデンタルクリニックという歯科医院を運営しています。
分子整合栄養学的なアプローチについてセミナーを聞く機会がありました
本日、Jメディカルサポートによる「第27回栄養療法オンライン特別セミナー」のアーカイブ動画を視聴する機会がありましたので、内容の復習がてらブログにて私が思うことなどを踏まえて書いてみることとします。
分子整合栄養学と呼ばれたり、分子栄養学、オーソモレキュラー医学と言われたり、はたまた分子整合栄養医学といわれたりと呼び名が様々な分野ではあります。
もともとは金子 雅俊先生という方がアメリカから日本に持ってきた学問とされています。現在ではアメリカでは、類似した機能性医学と呼ばれる分野も発達しており、その他ライフスタイルに関する学問についても注目が集まっているといわれています。
分子整合栄養学は日本においては、血液検査や尿検査、便検査、毛髪検査など様々な検体からの検査を通じて、人の体内環境について状況を詳しく知ることを目的とした学問です。
私自身は、自分が運営しているヘルシーライフデンタルクリニックにて、上記のような検査結果から読んだ内容を参考にして栄養素のご指導をすることがあります。内容としては、単にビタミン〇〇やミネラルの○○を摂取したほうが良いということだけではなく、お口の中の咀嚼能力や胃の消化機能も踏まえて食事の形態や噛む回数などにも目を向けてお話をしています。
その他、生活習慣(運動、睡眠、趣味仕事のバランス)などのトータルなバランス(ライフスタイル)も重要だと考えています。
分子整合栄養学を用いて体を知ることはなぜ必要か
1.未病対策が必要な状態なのかを知る
なぜそのようなことをする必要があるのかというと、あなたが今、病気が発症する方向に現在向かっているのかそうではないのかという、未病対策をすべき状態なのかということが一つ重要となります。現代における病気は、ほとんどの病気が事故のように急に起こることではなく、原因となっている塵がつもっていっていっぱいになった時に病気として発症するようなものがほとんどなので、検査によって発見された栄養素の欠乏を改善しておくことで、病気が発症しないように体内の環境が正常になる手助けをしたり、未病対策につながる可能性が高まると考えています。
2.病気の治療のサポートをすべき状態なのかどうかを知る
例えば歯の治療に置き換えて考えてみましょう。歯の周りの骨が溶けている状態として根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)という病気があります。一度虫歯の治療をして歯の神経を取り除いた状態に対して後から細菌が感染して発症する炎症のことです。
根尖性歯周炎では、歯の周りの骨が溶けてしまっているケースが多いのですが、しっかりと根の治療を行えば、骨が回復して戻ってくることがわかっています。
この際に、溶けた骨を治癒させているのは紛れもなく患者さんご本人の体です。体の中に、細菌との戦いをスムーズに展開してスムーズに終焉させる機構があったり、骨をスムーズに作ったりする機構が備わっていなければ成立しないわけです。
私の患者さんで根尖性歯周炎の治療後に、私も驚くほど骨が治癒する患者さんもいらっしゃいますし、予想に反して全然骨が治らない患者さんもいらっしゃいます。
治癒が遅い患者さんの一つの要因としては、栄養の欠乏状態や糖尿病などの治癒が遅延する原因が考えられます。
当院において、今までわかってきたことの一つは、ビタミンDの血中濃度が低い方には治癒が悪い方が多いということです。これは、原因なのか、結果なのか両方なのかは、まだわかりません。一つ論文による報告があるのは、歯肉炎が起きている患者さんにビタミンDの摂取をさせたところ、濃度依存的に歯肉炎の改善が起きやすかったという結果があります。ビタミンDそのものには抗炎症作用や骨の形成を促進する作用が期待できるので、根尖性歯周炎のような病気に対しては必要な栄養素と考えられます。その他には口腔細菌の種類として悪玉菌が多いかどうかといった観点についても重要ですが、今回は栄養素の話にフォーカスをすることとします。
一つ、骨の治癒が悪い方にはビタミンDの血中濃度が低い方が多いという点については興味深い点かと思いますので今後も臨床の中で知見を集めていく予定です。
3.病名がつかないけど不調を抱えている状態の改善
眠い、だるい、元気が出ない、やる気が出ない、朝起きれない、勉強に集中できない、イライラしやすい、足がつりやすい、爪や髪が荒れやすい、下痢や便秘が続いている、むし歯が定期的にできてしまう、太りやすい、風邪をひきやすい、アトピー性皮膚炎などに悩んでいる、喘息がある、鼻炎になりやすい。。。。
上記のような不調に関しては、栄養素の欠乏やメンタルの不調、口腔・腸内環境の悪化、睡眠不足、運動不足などが要因としてかかわっていることが多いです。
栄養や生活習慣、ライフスタイルの観点から、考えられる原因を取り除いていくことで様々な不調が改善することがあります。
事実、私は7年ほど前には、夕方3時くらいには眠気に苛まれてやる気が出なくなってしまうような体調でした。太りやすく、イライラしやすいといったところもありました。しかし、栄養状態を改善し、見直し、必要な栄養素を十分にとることで見事に復帰できました。花粉症のような症状が出にくくなり、風邪をひいたとしてもすぐにリカバリーできる体になりました。筋肉のつきやすい状態もつくれるのでボクシングなどのトレーニングにいそしんで体格も良くなりました。また、音楽などの趣味に対しても前向きに取り組み、今では音楽が副業になりそうな状態です。健康状態や意欲と栄養状態は密接につながっていると考えているため、私の歯科臨床では栄養状態を視野に入れています。
検査の方法について
私が行っている歯科臨床では、血液検査や唾液検査を主に用いています。理由としては、比較的採取がしやすいからです。尿や便をとる検査もありますが、患者さんがキットを自宅に持ち帰って郵送手続きを行う必要があったり、検査費用が高額だったりするため多くの方に実施がしにくいからです。
血液検査と問診だけでもかなりいろいろな栄養に関する情報を得ることは可能です。
私が歯科医師として考えるゴールは「食事を楽しみ、消化吸収ができる体を作ること」
私が考える歯科臨床の一つのゴールは、上部消化管を担当する歯科医師として、「食事を楽しみ、消化吸収ができる体を作ること」です。
血液検査やお口の中のかみ合わせや咀嚼能力の状態、胃酸の排出量などの評価から、歯科矯正治療や補綴治療(インプラント、ブリッジ、被せ物、詰め物などの治療)を行って適切に咀嚼ができる状態を作ります。また、血液検査によって胃酸の排出量が少なく消化力が低下している方に対しては、なるべく消化吸収が良い栄養素をおすすめしたり胃の粘膜を整える栄養素をおすすめすることで消化力の改善を図ります。
また、「見た目は気にしないの?」と感じた方がいらっしゃるかもしれませんがご安心ください。きちっと機能できる歯並びというのは、見た目も美しいです。色などの細部については私が直接合わせていくこともありますし、技術が高い歯科技工士とペアになれば本物と見間違えるほどのセラミックの被せ物を作製することもできます。
見た目を綺麗にすることは、歯科技工士さんの技術力も関連するため、タッグを組めば比較的簡単に達成できます(歯科技工士さんリスペクトです)。
本当に重要で難しいのは、治癒しづらい体を持つ方の治癒力を引き上げることや、「治る気」になってもらうこと、栄養素の欠乏が意外と自分の今の体の状態とつながっていることなどを理解してもらうこと、行動変容と呼ばれる生活習慣を変えてみようと思っていただけることなど、コーチング、メンタリスト的な要素を成熟させることのほうが難しいです。
歯の治療は、歯が欠損したり崩壊すればするほど矯正治療やインプラントや義歯などの治療法を併用しなければ十分な機能を回復することが難しくなります。
なるべく早めに健康な状態を健康なまま維持できるようにしたいですね。
いつでもお手伝いしますのでお気軽にご連絡ください。
当院の矯正治療の特徴についてまとめたページはこちら
非抜歯矯正で歯を抜かない矯正治療方法を選択!
https://healthylife-dental.tokyo/dentist1/1f9d9a78-65f4-4d59-b8b1-458e6f870018/
当院の血液検査による栄養解析の特徴をまとめたページはこちら
当院の血液検査の栄養解析の費用や内容についてのご紹介
https://healthylife-dental.tokyo/dentist1/e6fae57b-f786-4ead-9c13-2b90c7beed88/
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院長 手塚 充樹(てづか みつき)のプロフィール
趣味と人柄
趣味は運動と音楽です。
かつてはバスケットボールに熱中し、小学校から大学、そして社会人に至るまで、監督やプレイヤーとして活動していました。出身大学ではバスケットボール部の監督も務めていましたが、現在はボクシングを趣味として2年間取り組んでいます。
また、音楽にも造詣が深く、歌やギターなどを趣味として楽しんでいます。
皆さまの歯科診療に携わることを楽しみにしておりますので、お口と体の健康について何かあればお気軽にご相談ください。患者さまに寄り添う姿勢を意識しております。
学歴・経歴
学歴
経歴
- 2009年:鶴見大学歯学部口腔内科学(口腔内科学第2講座)講座入局
- 2014年:新橋テツガ歯科クリニック 副院長
- 2014年:川崎ジンデンタルクリニック 院長
- 2017年:鴨宮青山デンタルクリニック 非常勤
- 2019年3月:健康寿命延伸研究会 主催
- 2019年9月:新橋ヘルシーライフデンタルクリニック 開設
- 2023年4月:学校法人 大原学園 東京立川歯科衛生学院専門学校 兼任教員
現職
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